三上修さんの「スズメの謎」を読んだ。
中学生あたりを対象にした本だと思われ。
これはとても良書だと思います。
日本にスズメは何羽いるのか?と言う素朴な疑問を研究した書なのですが、科学やその周辺の考え方やおもしろさ、大事な事もとてもわかりやすく書いている。

自分はイラストの仕事でも、好きで描く絵でも、スズメを描く事が少なくない。
日本の自然な風景には必要な生物で有り、とても魅力的でもあるのだ。
では身近だから簡単かというとスズメはすごく難しい。
何となく茶色と黒っぽい模様と思っている人が多いと思うが、よく見るとよほど毎日のようにスズメを観察して描いている人でも無ければ、とてもソラで描ける模様ではない。
なので、絵に欲しいスズメのポーズの資料をあちこち探しまくるのだ。
どういう態勢だとどういう模様の見え方をするのか、はとても大事。曖昧に描くとスズメがスズメで無くなる。

スズメなどむかしからありふれてるから、資料などには事欠かないだろうと思ったら大間違いで、あまりに身近すぎて研究はほとんどされていない。
研究する価値の問題でもあると聞いたことがある。
研究してスズメについて何かわかっても、それを高く評価してもらえないと言うことで。(研究費も出にくいと言うことで・・)
なので、スズメの生息数も寿命その他も、ほとんどわかっていないというのが現状でもあるのだ。
以前自分で文献をあたって驚いたのは、現在はスズメはハタオリドリ科となっているが、それ以前には短い期間にころころと分類が変わっていたこと。
なに科に属するのかの判定が難しいのか、よほど研究がされていなかったからなのか。。。

この本では、近年スズメが減ったという声を聞くが、それは本当なのか。そんな気がしているだけでは無いのか、ということでまずスズメを数える所から話は始まる。
どのように数えるかは本を読んでもらうとして、スズメは確かに減ってきている。
「そんな気がする」ではなく科学的に減少傾向を確認したのは著書の三上さんが最初だろう。

自分が絵の題材のために動物の資料を探すときは、画像(写真など)を探すのはもちろんだが、生物学的にどのような動物なのかを知りたくて、そういう解説書を探したりする。
半分は趣味なのだが、スズメに関する専門書というか解説した本は驚くほど少ない。
それは研究する人が少ないと言うこともあるだろうけど、スズメ自体に生物として関心を持つ人が少ないと言うことでも有るかと思う。
なんとも残念なことである。面白いと思うのに^^;