「絵がわからない」という人の多くは、現代アートがわからないのだと思う。
そういう自分も「???」という現代アートのオンパレードである。

絵そのものを見て、上手い下手、好きか嫌いかを判断出来るモノなら良いけど、作品そのものが何を表しているのかさっぱりわからないというものが多いのが現代アートであり、わからないという人が多くてもしょうが無いな、と思ったりも。
個人的な意見では、絵そのものだけを見て見る側が気に入るかどうかを判断すれば良いのであって、作品の説明がないと理解が不可能なモノはおかしいと思っている。
確かに、作者による作品の意図がわかることで、美術史の上で重要と見なされる作品があるのはわかる。でも作品そのものはそのものだけで鑑賞するしかない。

マグリッド

この絵は現代アートの巨匠でもあるマグリッドの作品である。
マグリッドは不思議なシュールな作品が特徴だけど、この絵も昼間の空と闇夜の地上が混在する不思議な絵である。
でも一枚の絵としては、グロテスクでは無くむしろ面白いと思う。矛盾した状況が不思議に溶け合っているようにも見える。

この作品に対しては、いろいろな解説があるようである。
そのほとんどは、マグリッドはこの絵で何を伝えようとしているのか、である。

確かにマグリッド自身、この作品で何かを訴えようとしたか、問題提起をしているのかもしれない。
自分もこれほどではないけど、普通に考えたら不思議な絵を描く事がある。
でもそれは「面白い」からであって、それ以上でも以下でも無い。
なんのメッセージも無いし、アートの流れに何かを突きつけようなんて大それた事は考えていない。

描くときも、どうすれば「自然」に「面白いか」を考え抜く。
例えば、ペンギンやクジラなど、飛ばない動物を飛ばしたりするが、ただ飛ばせば面白いとは思えず、画面構成やそれなりのリアルさなど、かなり考える。
あくまで「面白い」と自分が感じるから描くのである。
もし自分がこのマグリッドのような絵を描いたとしても、それはただ「ちょっと思いついて面白そうだったから」という理由しか無いだろう。
自分はイラストレーターであってファインアーティストでは無いので、アートとは何か、自分はアートで何を表現しようとしているか、なんて事は何も考えていない。
もちろん、好き勝手に描いているときはファインアートを描いていることになるが、やっぱり思想などはない。
誤解の無いように補足すると、あくまで自分が何も考えていないのであって、イラストレーターという人種がそういうこは何も考えていないという意味では無い^^;;

アーティストや評論家が思想や潮流をぶつけたり考えたりするのはそれはそれで結構だけど、「ただ楽しい」で楽しんでもかまわないと言い切ってしまいたいのである。