偉そうに自宅にて絵の教室などもやっていますが(現在は新規受付をしていない)、特に絵を描く経験の浅い人に多く見受けられるのが「~~していいの?」という発言ですね。

 自分(参加者)がやろうとしている描き方をしてもいいのか?そういうものを描いていいのか?はたまた、そこで描くのをやめていいのか?続けて描いてもいいのか?
 誰が、絵を描くなんて自由な行為を、こんなにもがんじがらにしてしまったのだろう?

 確かに、参加者が描いていて「~~すればいいのになぁ・・・」と思うことはしばしばある。でも、それは僕が描いているのではなく、その参加者が描いているのだ。こちらが「~~した方が良いと思う」というのは、ほとんど参加者自身がやり終えた後に言う。「~~すればいい」と感じるのは、自分の感性であって、彼(彼女)の感性ではそうではないかもしれない。
 だから、「~~していいの?」と聞かれたときは、やりたいと思えばやった方がいい、と言う。「好きなようにやって」と言うことだが、それで結果が悪いこともある。でも、こちらとしてもやらない方が良いとはなるべく言えない。その人の感性に従ってやった方が、良いものができるかもしれないからである。
 結果が悪かったときは、「~~した方が良かったねえ。」とは言う。後から言うのだから一見無責任なのだが、何から何まで指示を与えていい絵ができあがるということに、どれほどの意味があるのだろう?
 参加者がやろうとしていることに対して、こちらはやめた方が良いと感じたときは、やっぱりやらない方が良かったということの方が多い。でも、やってみたら良かったということも少なくない。だから、やっている本人がやろうと思ったら、やればいいと思ってやってもらうのです。それに、やって失敗したという結果を確認するのは、とても大事なことでしょう。

 参加したことのある人はよ~くわかっているでしょうが、指導めいたことはほとんどしない。そのようなノウハウも能力も持ち合わせていない、というのも理由の一つだけど、参加者が自分なりの楽しみを見つけ出すのが最大の目的でもあるからだ。
 だから、しっかりした指導体系があって、着実に進歩できる教室を期待して来た人がいたら、怒って帰ること必至ですね^^;。
 そういうわけで、参加する前には、なるべく本人に会うか、または何度かのメールをやりとりして、その辺を理解してもらってからにします。

 僕自身は絵を習ったことはないので、ちまたの絵の教室がどういうものかは、人から聞いた話でしか知りません。先生がきっちり指導し、はみ出したことはやらせないとか、「~~するな」「~~なんて描くな」という先生も多いようです。
 受講者が何を求めていくかによるので、一概にそういうのが間違っているとは言えないけど、そういうのを聞くと、いったい何をやらせようと言うのだ?と思ってしまう。

 話戻って、「~~していいの?」と聞く人が多い背景には、「評価」されすぎてきたというのがあるでしょう。図工や美術の教科でも絵が評価される。おそらくほとんどの美術の先生は、生徒が描いたものに優劣をつけることの矛盾を感じているのだろうと思う。
 それともう一つ、許可を求めるような言い方をするというのは、責任のありかを自分以外に求めているという、日本人特有の心理も少なからずあると思うのは勘ぐりでしょうか?